プロローグ

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   服装は、男の性格から来るこだわりか。  それとも、仕事帰りでネクタイのみ外したといったところか。  どちらにしても、見ていて暑苦しいと店のバーテンは思いながら。カウンターの内側から、男を傍観している。  一番奥のテーブル席。  照明の具合で、気を抜いて見ると男がいないかのようにさえ見える。  店内に、客は二人。  その男と、カウンターにもう一人。  カウンターの男は、つまらなそうにドイツビールを瓶のままラッパ飲みしていた。  バーテンの見立てでは、どちらも三十代。多少の誤差はあろうが、その判断に間違いは無さそうだ。  そこに、三人組の酔客が来店した。 「よぉ、マスター久し振り」  そう言って手を上げると、三人はカウンターのバーテンの前の席に陣取った。  各々、ここに来る前の店で相応のアルコールを摂取。それにより、上機嫌となって来店したようである。
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