プロローグ

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「団長っ……!!!!」 鍾乳洞のような洞窟の奥深く。神殿跡地の遺跡。朽ちて折れた柱が所々に散らばる。その中央に居るのは血だらけの黒い鎧を纏った中性的な黒髪の女性騎士。その騎士を〝団長〟と呼ぶ白銀の鎧を纏った、白髪の美麗な女性騎士。 「あはははははは!!終わりね、貴女も私も……!!いいわ。この世界は私の意のままに出来なかったけど、後世で必ずこの屈辱を晴らすわ」 そして黒騎士の目の前に居る煌びやかに着飾った位の高そうな女性は妖しく笑い、その傷付いた身体を引き摺りながら遺跡の更に奥深くへの闇へと堕ちて行った。 「ぐ……げほっ!!!!」 「団……オリヴィアっ!!」 黒騎士は大量の血を吐いて地面へ力無く倒れ込む。握っていた日本刀のような形状の刀を握る力すら無く、手から離れて共に地面へ落ちる。 白銀の騎士は団長と呼ぶのを止め、黒騎士の名を叫びながら駆け寄り膝を付くと優しく上半身を抱き起こして抱き締める。 「っ……!!!!」 「……サラ」 黒騎士・オリヴィアは白銀の騎士・サラの綺麗な白髪に触れる。サラは大粒の涙を流してオリヴィアの顔を見つめた。 「これを……」 椿の形をしたゴールドエンブレムをオリヴィアはサラに手渡した。 「……!?オリヴィア……貴女……」 「〝団長証〟そのままの、意味……だ。お前に……託す」 「バカ言わないで……!!私は貴女が居なくなったら……」 オリヴィアは真顔のままその意志の強い目から涙を流す。サラはその姿を見ると唇を噛み締めてエンブレムを握り締める。 「約束して。後世でもし出逢えたなら……こんな時代じゃなくて平和な世の中だったら、何があっても一緒に居るって」 「あぁ……約束しよう。サラ……愛してる」 「オリヴィア愛してる」 サラとオリヴィアの唇が重なり、暫くしてオリヴィアは満足そうな笑みを浮かべてその生涯の幕を閉じた。 「オリヴィアああぁああああああああああああ!!!」
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