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「今回も正体は妖怪だったか」
この踏切の事故の原因である黒い靄…いや、妖怪に近づきながら俺は呟いた
妖怪はそんな俺を睨みながら必死に拘束を解こうと動いているが、いっこうに解けそうにない
「…なぁお前、何人殺した?何人傷付けた?」
すでに俺は妖怪の目の前に立っていて、静かな声で尋ねた
「…はァ?そんなのいちいち数えてる訳ねぇーだロ!!」
「…なぁ、境界線って知ってるか?人間はそっちの世界に干渉しない、だからそっちも人間たちを襲わない。そういう約束だっただろ?お前はその境界線を超えちゃったわけだ」
「境界線なんて知るカ!!俺はそんなものには従わなイ!俺はもっと人間を殺したいんダ!!」
なおも飛びかかるような勢いで答える妖怪に俺は小さく溜息を吐いた
「そっかそっか。……じゃあお前はここで消えろ。…滅(メツ)」
低く静かな声で俺がそう宣言すると、妖怪を拘束していた術がより強くなり、最期まで騒いでいた妖怪は次の瞬間砂のようにサラサラと崩れ去っていった
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