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俺はその質問に答えることができなかった
怖くて答えることができなかったのかもしれない
それとも単に男の言葉を理解できなかったのかもしれない
ただ小刻みに震えることしかできなかった
「…俺さ、鬼なんだ」
男はニッコリ笑って言う
「だから、いつかお前ののことも………奪いにくる」
そう言い残し、立ち去った男は闇に溶けていった
残された俺は、まだ何も理解出来ず、立ち尽くしたままだった
その夜の暗い空には血のように紅い満月が昇っていた……―――
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