第1章

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「美しいなぁ」 雪降る聖夜の入口、前方にイルミネーション輝く大きなモミの木がぼんやりと見えて来ました。しかしカエルはもう動くことができなくなりました。目を開けているのがやっとです、まったく動けません。それでも雪は背中に容赦なく積もっていきます。遠くで車が止まる音がしました。モミの木の下で人影が動いたような、そんな気がして、カエルは最後の力を振り絞って一生懸命に目を凝らしました。しかしもうカエルのどこにも生きる力は残っていません。そしてやがて静かに静かに、カエルは目を閉じました。 僕はこの話をN氏から聴いた時、彼の絵を演出する作り話だろうと思いました。ただN氏は最後に、「MOMOはいなかったんだ」とポツリと言いました。 終わり
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