第5章

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「今から二人づつになり、山を登ってもらう」 担任がスピーカーを使い、大声で言う。 「頂上には久保先生がいらっしゃるから、判子をもらい降りてくるように」 遠足の日。 遠足は小さな山を登山し、クラスの交流を深めるという内容だ。 担任が言い終わると出席番号順に並ばせ、二人に分けていく。 俺は由香里を見た。 ....出席番号からして俺となることはないか。 俺は溜め息をはいた。 由香里との関係は変わらず続いている。 俺は由香里に強要し、由香里は怯えながら応える。 しかし、俺が満足できる日はなかった。 「桜井と佐藤」 担任が指示した。 「・・・智也・・・よろしく」 俺の相手は里見だ。 里見は顔を赤くし、俺の隣に立った。 「あぁ」 俺は素っ気なく返事をした。 周りの女子が里見にコソコソと話をし、里見の顔が赤くなっている。 ....由香里は誰と。 俺は急いで由香里を見た。 由香里は体が細くクラスで一番がり勉の吉田とだった。 吉田と由香里は楽しそうに話している。 ....何なんだよ。吉田のやつ。気持ちわりーんだよ。 俺はイラつきながら由香里から目を反らした。
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