第5章

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暫くして、久保の地点まで来た。 「・・・この調子で下まで降りるように」 判子を押し、持っていたメモ帳に俺達の名前を書いていた。 久保の姿を見たくなくて、久保から目を反らす。 「先生、そのペン可愛いですね」 里見が久保の持っていたペンを見ながら言った。 白と薄い青色が特徴的なペン。 「・・・あぁ。ありがとう。貰いものなんだ」 少し微笑み、嬉しそうに言う。 誰から貰ったものかすぐにわかった。 苛立ち歯を食い縛る。 ....喜ぶな。ロリコン教師が。 俺はその場を立ち去る。 「・・・ま、待って。智也」 里見は急ぎ足の俺を追いかけた。 体に力が入る。 いらつく。 ペンを折ってやりたい。 俺しか知らない由香里を教えてやりたい。 お前は知らないだろうが由香里は俺のものなんだよ。 俺はお前が知らない由香里を知ってる。 嫌がりながら俺を受け入れ、泣きながら耐える。 その内、色んな由香里を見れるはずだ。 笑顔の由香里が過る。 「・・・あれ?吉田と山野さん?」 突然のことに驚いた。 吉田と由香里がいた。 「・・・あっ」 由香里は俺と目が合うと急いで反らす。 「・・・二人って初めの方に出発しなかったっけ?」 里見が不思議そうに見た。 「実は吉田くんがペン落としたみたいで・・・」 里見に話す。 どうやら、吉田のペンを探しているようだ。 「・・・あった」 少し遠くにいた吉田が声を上げた。
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