Ⅳ.

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少し戸惑っていた瞳が一度だけ伏せられて。 でもすぐに戻ってきた瞳は何かを吹っ切れたかのような、そんな瞳に変わる。 「……先生…好きだよ」 何度言っても足りないくらい。 まだ少し強張ったままの顔で、必死にニコリと微笑んでみせる。 先生が好きだよって、ちゃんと伝わるように。 ゆっくりと近づいてくる先生の整った顔。 真っ直ぐな瞳。 「……トーコ、好きだ」 優しく触れる唇に、あたしはそっと瞳をとじた。 何度目のキスだろう。 だけどこのキスにはちゃんとお互いの気持ちが通じ合ってる。 この間の意味のないキスとはまったく違う。 触れ合う唇からは優しさと甘さと、先生の思いも伝わってくる。 「このキスに意味がないなんて、言わせない」 そう耳元で囁いた先生は、さっきよりも少しだけ大人なキスをあたしにくれた。 あたしの中は先生でいっぱいで溢れてしまいそうなくらいで、先生の体温も匂いも、柔らかな唇も。 全部が愛しいと思った。
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