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「確かに傷ついたけど、それよりもあの人が隣にいてくれたことが幸せだったわよ」
「たくさん泣いたくせに」
「でも、泣いたぶんだけ先生はあたしを愛してくれた」
昔を思い出しているのか、星野先生の顔つきが少し変わる。
たくさん泣いた、なんて話しているわりに。
その表情はとても穏やかで、とても愛しそうで。
「あのときも、今も、あの人を好きになって良かったって思ってるわ」
優しく微笑む星野先生はとてもキレイで、その笑顔に心の中が温かくなっていくのがわかった。
星野先生はその先生のことを本当に好きなんだ。
今も、高校のときも変わらすに愛してるんだ。
その想いが真っ直ぐに伝わってくる。
「トーコちゃんだってそうよね?」
「えっ!?」
いきなり話をふられてビクッとするあたしは2人の視線を感じて顔を真っ赤になってしまった。
だって、今あたし…九条先生のことを愛しそうに見つめていたから。
大好きだって、きっと顔に書いてある。
そんなあたしに九条先生は困った顔をするのに対して、星野先生は優しく微笑んだままで。
「あんまりウジウジしてると、すぐに他の子に取られちゃうからね」
バシッといい音を立てて、星野先生は九条先生の背中を叩いた。
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