Ⅴ.

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何のことかわからないあたしはキョトンとしたまま2人のやり取りを見てるだけで、 星野先生に一方的に何かを言われて小さくなってる九条先生なんて初めて見る。 教師じゃない顔、普段の九条弘紀はこんな感じなのかもしれないと思うとちょっと可笑しかった。 星野先生の話し方も少し違う。 きっとそれが素の姿で。 この2人があたしの前で自然でいてくれることが嬉しかった。 クスッと笑うあたしを九条先生はチラッと見て、でもすぐに視線を逸らしてしまう。 少し慌てたふうに見える先生に小首を傾げた。 「そんなの、言われなくたってわかってるよ」 フッと笑う九条先生は、今まで以上に優しい笑顔で。 そんな先生にドキドキしてる。 あたしの髪に優しく触れたその手と、心地良さを感じるその鼓動に幸せを感じて。 先生を見上げて優しく微笑んだ。
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