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「……尚吾、どうしたの?」
「……トーコを、待ってた」
「えっ…」
ゆっくりと近づいてくる尚吾を前に、あたしの足は少しだけカタカタと震えていたような気がした。
その瞳がやけに真剣だったからかもしれない。
その表情が、真っ直ぐだったからかもしれない。
「少し、話せるか?」
フッと笑う尚吾は、少しぎこちない笑みを作って。
こっち、と視線だけであたしを誘導しながら背を向けた。
「あたしも、尚吾に話さなきゃいけないことがあるの……」
「ん……」
振り返る尚吾の背中を追いかけるように、あたしたちは学校をあとにした。
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