Ⅰ.

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「…で、この公式を…――」 2月に入ったばかりの天気いい木曜日。 午後の授業はどうも眠くなる…… 窓際の後ろから2番目。 日差しがポカポカと暖かくて気持ちがよくて。 ウトウトしてしまう。 外に一歩出れば極寒で、ここから見える景色はほどんど雪に覆われている。 太陽の光が真っ白な雪に反射して、キラキラと輝いていた。 「――…じゃあ、次の問題を」 今は数学の時間。 意味のわからない公式が連なる黒板をチラリと見て、また視線を机に戻す。 ペラペラとめくるのは教科書ではなくて、今日友だちに借りたばかりのファッション誌だった。 もうすぐバレンタインだけあって、その特集ばかり。 モテ服、モテメイク、モテチョコ…… “モテ”がつけば、殆どの女の子はそれに釘付けになるのに対して。 あたしには縁のないことだ、なんて冷めたことを思う。 ピンク色のそのページをめくって、恋愛のQ&Aをなんとなく読む。 縁がないと言っても、好きな人がいないわけじゃない。 今、付き合ってる人がいる。 その人のことで頭の中はいっぱいだ。 彼の姿をいつでも探してしまったり。 彼の声に、必要以上に反応してしまったり。 あたしの中は、その人のことばかり。 昨日より今日、今日より明日のほうが好きになる。 「――……だっ……」 そのくらい彼のことが好きなんだ。
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