第1章 少年と猿に会う

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キョロキョロと視線を動かしながら、森を走り続けていると次第に剣戟の全貌が明らかになった… 「………。」 見た瞬間に言葉を失う。 「セイヤァァっ!!」肩まで切り揃えた金髪で長剣を振るう美少年。 「ウッキィ!!」相対する白い毛並みの、槍を持った猿。 互いににらみ合いながら、剣と槍を合わせる。 オレは一度、ゆっくり右足を後退。そして息をひそめ。謎の闘いの場から、距離を取ろうとした。 …オレは、夢でも見ているのか? 剣士の方はいいとして…あの猿は、なんだ?槍を持ってるし、金ぴかな鎧(よろい)来てるし。体が普通の猿の5~6倍はあるし。 頭の中で疑問を繰り返す。 もんもんと考え込んでいると、オレの気配に気付いたのか金髪の美少年が構えていた金色の長剣を鞘に戻して、オレに声をかけた。 「こんにちは!そんな所でどうしたの?」 しかも、笑顔付きで。 その、邪気の無い笑顔に一瞬、たじろぎそうになったがため息をつき、話ながらゆっくりと彼らに近付く。 「…こっちの方から剣戟の音がしたから、確かめに来ただけだ!!お前こそ、こんなへんぴな森の中で何してたんだよ!!」 そう投げかけると、金髪美少年は鞘に収めた長剣の柄に手をかける。 「っ!!」 オレも反射的に右手に持っていた木剣を構え様としたが、相手は笑って柄から手を放す。 「斬りかかるつもりは無いんだけど…ボクたちは、剣の修練をしていたところななんだ!」 「…だとしても、怪しいな。」 金髪美少年の答えに、オレが言う。 森や洞窟など、人の目が届かない場所で修練をする者は数多くいる。 …実際、オレ自身もその一人だ!! しかし、それは獣や動物たちが暮らす様な場所で行う。 感覚や気配を鍛えるために。 そういった場所での方が、効率もいい。 「この森じゃ、昆虫の類しかいねーし修練には向かないとおもうが?」 「精神統一に向いてるでしょ!」 「…それにお前みたいな金髪の人間は、この区域にはいない。もっと西にある国の人間だろう?」 口端を吊り上げて、不敵に笑ってみる。 すると、金髪美少年は目を大きく見開き驚いた声をあげた!!
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