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「キミ凄いね!!確かにボクたちは、西にある【ミーリック】から来たんだ!」
「ミーリック…じゃあ、鍛冶の商売にでもやりに来たのか?」
親父の話によればミーリックには、腕の立つ鍛冶屋が多く輩出されている国らしい。また、別の呼び名では【神に守られし国】。
この世界の長い歴史の中で唯一、他国からの侵略をされていないというのが呼び名の由来だという。
「違うよ。ボクたちは、キミに会いに来たんだ。」
「……は?」
意味が分からず、間抜けな声を出す。
オレ自身に用がある?
「何の冗談?」
「冗談じゃないって!”この国で名のある剣士”って聞いたら、キミの噂を聞いた。”銀髪の鬼神(ぎんぱつのきしん)ルア”!!・・・まぁ、それ以上は何も知られていないみたいだけど。」
「・・・そんな通り名、知らんな。第一、オレは木剣しか持ってねーしっ!!」
右手に持っていた木剣を前に突き出して見せる。
金髪の美少年は、きょとんとして海の様に青い瞳をオレに向けた。
「え?ボク達の勘違い?でも、銀髪なんてこの辺じゃ全然見なかったけど・・・。」
「・・・・。」
嫌な所を突かれた。
確かに、銀髪の人間はこの地域じゃいないだろう・・・いや、もしかしたらこの世界を隅々まで探してもいないかもしれないが。
「とりあえず、近くの村に案内してやる。」
「それには及ばぬっ!!!!」
オレが親切心で言うと、今まで騒ぐことなく静かに過ごしていた白い毛並みの猿がオレに槍を構えながら叫んだ!
・・・猿が?
「うわっ!?猿がしゃべった!!」
「なんと無礼なっ!神聖な私の姿を愚弄(ぐろう)するか!」
「別に愚弄なんて・・・」
「言ったではないか!!”猿”とっ!」
「だって猿じゃん。」
「猿ではなっ・・・」
「ままっ!落ち着きなよモンちゃん!!」
「・・・・・モンちゃんって・・・」
途中で金髪美少年が会話に入って来たので、オレは言い合いを中断する。続けても不毛だし。
腕を組んで肩の力を抜く。
「仮にオレがその鬼神さんとして、何の用事があるんだ?そして、お前の名前はなんだよ?」
核心を突く質問をしてみる。
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