7人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、言ってなかったか。ボクの名前はカネス=ロマーノ・・・皆からは、”カロ”って呼ばれてる。よろしく!!」
ニコッと笑いながら、右手を差し出す。
どうやら握手を求められているようだ。ずっと笑顔でむしろ、気持ち悪い気もしたが悪そうには見えない。仕方なく差し出された手を掴んだ!
「とりあえずは。」
「最初はそれでいいよ!」
・・・なんだ?その最初は、って。
余計に疑問を抱きつつ、オレは金髪美少年・・・改め”カロ”と白い毛並みの猿”モンちゃん”と呼ばれていた一人と一匹を見た。
何をしに来たのかイマイチ分からなかったが、オレの退屈は無くなりそうだ。
それは純粋に嬉しい。かかって来い。
「じゃあ、近くの村までは送ってやるよ!・・・ところで・・」
オレは一旦言葉を切り、木剣を持つ手に力を込めると、背後から接近する気配に向けて振り向きざまに一閃。
どさっと草むらに何かが倒れる。青紫色のフードケープに身を包んだ人間。背にはフォックスを模した文様。こんな森ではまずいない。しかも、一人、二人ではないようだ。
「こいつらは、カロちゃんのお仲間かい?」
若干の皮肉を込めて言う。
すると、カロは困った様に笑いながら鞘に納めていた黄金の長剣を音高に引き抜く!
「ははっ。さすがにこんな物騒過ぎるお仲間はいないよっ!」
最後のセリフに合わせて気合いを入れると、カロは一番近くに迫っていたフードケープの人間に向けて黄金の長剣を勢いよく振り下ろす!
そのまま刀身は、真っ二つに人間を切り裂き、勢いを殺さぬまま地面にまで穴を穿った!半端な威力ではない。
カロ自身は一般男子よりも身長が低く細身であるのにこの破壊力。オレは驚きを隠せなかった。
「おいおい・・・かわいい顔して”人殺し”ったぁ、ずいぶん冷酷な奴だなぁ!」
「そっそれは誤解だって!人殺しなんて!」
慌ててカロが否定してくる。
「はい?でも今、真っ二つに。」
と視線を死体が転がっている方へと視線を向けると。体中から血が噴き出し、地面には赤黒い血だまり・・・
「って、血が出てねぇ!?なんだこりゃ!!」
「だから言ったじゃない。殺して無いって!!」
「そんなの普通、信じられる訳ねーだろうがっ!!!」
最初のコメントを投稿しよう!