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話している最中に再び剣がおそってきたので、慌てて横に飛び退く。
「おしゃべりしてる場合じゃなかったな!」
気持ちを戦闘中である事に切り替えると、おそってきた奴の剣を二合、三合と木剣で打ち合わせ四合目を数えた時。
釣り合っていた剣とオレ自身の力を抜き、右に避ける!!
すると、相手はバランスを崩して前屈みに倒れ…
「地面と友達になってろ!!」
その隙に、オレは、後ろへ回り込んで相手の後頭部を木剣の柄でおもいっきり殴る!!
「かっ…は…」
「いっちょあがり♪」
地面に倒れたの確認しつつ、次の敵に備えた。
「次は、どいつだ?」
いつもの剣の練習稽古とは違っているので、若干、オレの心が浮き立つ!
早々、田舎でこんなに戦う機会など無いのだから。
構えながら、チラリとカロの様子を窺ってみるが全く焦る事無く剣をあしらっていた。
…見た目じゃ、強そうに見えないが。
かなりの実力者だろう。
「あれ?そういやぁ、猿はどこいった…」
「猿ではなぁぁァァァァいっ!!」
オレの小さな独り言に猿が反応して叫ぶ。猿のくせに地獄耳?
「おぬし!!今、猿のくせにと思っただろう!?」
なんと!人の心も読めるようだ…猿なのに。そして、猿もオレも戦闘中の状態で。
しかし、猿は猿としての特性である“身軽さ”を活かして縦横無尽に空中を跳びまわって闘っていた!!
「我の力を侮るなっ!!ウッキーッ!」
相手に槍の穂先で狙いをつけて、片手に持った槍を素早く突き出す。
一筋の線を描き、相手の手の甲へと吸い込まれる。
同時に、手の甲から血が滲(にじ)む。握力を失い相手が所持していた剣が地面に落下した。
更に、猿の前に接近する三つの影があったが、槍を後ろに引き、今度は霞む様なスピードで横から三つまとめて凪ぎ払う!!…あの猿、結構強いのか。
「…名の知れぬ賊(ぞく)め!!我を思い知ったかっ!!」
堂々とした宣言。
そのまま、オレに勝ち誇った様な視線を向ける。
「わかったか、若僧?これが我とおぬしの格の違いだ!!“猿”と言った無礼を詫びれば、おぬしを助けてやろう!!」
上から目線。
しかも、猿顔で笑うので余計に憎たらしい。腹が立つ。
「へっ!!お猿様の手伝いなんて要らねーっての!!」
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