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カラン、ザー、コロン
カラン、ズー、コロン
一人の光るような服を着た女の人が、歩いている。
髪を結い上げ、簪をさし、人を連れて。
顔は、良く見えない。
「私は・・・前世は、花魁じゃなかったのかな・・・」
ぽろり、口からこぼれた声に、花魁さんが止まって振り向いた。
顔が見えた。あれは私だった!
何故か笑っているように見える。
(なんで笑うの?
私になにか、あるんですか・・・?)
悲しくなってきた。
涙をこらえる私に、花魁の私が指をさした。
指をさしたその先に、一人の男性が立っていた。こちらに走ってくるようだ。
花魁の私も、その男性に手を振った。
そしてまた歩きだし、男性の元へ行った。
なんだ、カップルなのか・・・。
前世の私には恋人がいたの?
「私の前世の恋人、見てみたいな」
私も二人の元へ走り出した。その途端、追いかけているはずの二人は急に遠くへ離れ、消えた。
私に手を振りながら。
(待って、私!聞きたいことがたくさんあるの・・・あなたの彼も知りたいの・・・!!)
必死に走っても、もう二人の姿は消えてしまっていた。
(おねがい、待って、)
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