第3花

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「あ、俺は西田清二(ニシダセイジ)。貴方の名前は・・・?」 「私は、えと・・・」 待て、江戸時代なら女の私が苗字とか持ってたらダメだよね?! えと、えとぉおお・・・ 「美代(ミヨ)、といいます」 単に「美夫」と音が似てるから「美代」にしただけである。 「美代さん、ですか!いやぁなんせ珍しい服なので、すぐ目にはいってしまってね」 「あ・・・確かにそうですね」 そう言えば制服のままだった。やっぱり目立つんだな、うん。 「でも、その服でこんな所に寝てたら、見つかって捕まるかもしれませんよ?」 え、捕まるの?!いや、そりゃ目立つだろうけど西田さん(そして猫)以外には見えてないはず・・・ 「あの、捕まるって・・・?」 「知らないんですかっ?!ちょ、耳貸してください」 そっと近づき、声に耳を傾ける。 「あの『新選組』!中には『人斬り集団』と呼ぶ人もいます。」 「し、新選組・・・!」 新選組なら知っている。なんせ私も歴史の中で結構好きな方である。 好きだからこそ、この言葉に耳を疑った。 (人斬り集団って、ほんとに呼ばれてるなんて・・・。) 西田さんは続けて言う。 「名前は聞いたことある人が多いと思います。特にこの江戸の街に住んでいれば。」 (住んでないけど知ってます好きですから!) 心の中でつっこむ。 「西田さんも、新選組のことは苦手なんですか?」 「いえ、私は別に嫌いでは無いんですけど、街の人の噂は様々です。」 (西田さん、新選組嫌いじゃないんだ・・・良かった) ちょっと安心した自分がいるのは、きっと気が合う人を見つけたからなのか、他の何なのかは分からない。 でも見つからないことが条件なら、全然大丈夫だ。 「それなら多分、大丈夫です!」 「え、なぜですか?」 西田さんは不思議そうに聞いてきた。 「私の姿って、普通の人から見えないんです」
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