第4花

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「・・・・・・・・・?」 ぱち。と目を開けると、目の前に障子と畳が見えた。 ・・・あ、寝てたんだっけ。 「いふぁ、つがぁっ!!!」 いや、ちがう!って言いたかったのに、何故か声がでない。 口に何か、布を噛まされている。 (どういうこと・・・私、騙された?) 瞬間、西田さんの顔が浮かぶ。 (悪い人には見えなかったのになぁ) そう思ってももう遅い。手足も手首も縛られていて、足と視界のみが自由。 この状況じゃ、何も自分にできることはない。 (でもなんで、他人に見えないはずの私が捕まってるの? 私をここに連れてきた人は、誰? このまま、殺される?) 自問自答しか出来ない自分に、ほんと嫌気がさす。 とりあえず、マイナスなことしか浮かばないから寝よう、うん。 そしてまた、すっと目を閉じた。 バンッ!!!! 「?!」 「あ、起きました?」 私は横になったまま目を見開いた。 障子が勢い良く開き、その先には1人の男性が立っている。 (あ、イケメン・・・?って、そうじゃない!!) 確かに顔は整ってるし、背も高くてかっこよかった。けど今はそんなこと気にしてられない。 「ふぁお、あふふぇわふぁひふぁ(あの、なんで私が)・・・」 見えるんですか?という前に、男性から「あ、ちょいまって」と言われる。 そして私の口の布を取ってくれた。 「流石に何言ってるか、分からなかったからね」 そう言ってにこっ、と笑った。 ・・・ぜんっぜん目が笑ってないように見えるが。
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