第4花

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「とりあえずさ、君の名前教えてください?」 また、にこっと笑って聞かれる。 ・・・なんかイライラするのは何故だ。 「美代、です(ほんとは美夫だけど)」 ここでも一応、偽名を出しとく。 「ふーん、そっかぁ」 絶対信じてないよこの人。 「貴方も教えてください、名前」 「僕は、宗次郎だよ?」 はい、絶対に嘘だろーこの人も。 残念ながら私はそういうところだけ目が利くのよ。 「嘘、ですよね?」 「そーゆー君こそ嘘でしょ?」 オウム返しか。 「あなたはどうなんですか?」 「いやあ参ったね。でも君、不審者扱いだから教えない」 にこっと笑う。本日3度目。 あ゛ーーーイライラする!! ・・・なんでだろ?どうも思い出せぬ。 「沖田総司」 「そうですか・・・ってぇえ?」 何故突然名乗った?! 「なんでそんなに驚くの?」 「だだだって!不審者には名乗らないって」 「だってほんとに君が不審者なら、この後死ぬでしょ?」 (えっ・・・?) 「だから別に、言ってもいいって思っただけ」 沖田さんは相変わらずニコニコしたまま、私にとってとても重たいことを言った。 沖田総司と言う名前を聞いて、私がいる場所が新撰組だということは分かった。 そして本人に会えて嬉しいという私の気持ちは、大好きな新撰組の人物によって一気に奈落へ突き落とされた。 「死ぬ、てことは、処刑ですか?」 「うーん。処刑って言うか、排除かな」 もう最悪だ。なんてついてないんだろう。 好きなのに、向こうからは嫌い(ていうか排除)って言われるし。 私の人生最初で最後の江戸街旅行記は、現代に帰らないまま終わってしまうのか。 しかも、たった一日で。
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