第1花

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今は現代、季節は夏。 ちょうど昨日から夏休みが始まった。 「暑いな・・・」 ほんと、この教室は暑い。どうしたものか、温暖化か? なんて考えも、頭の中から外へ、熱とともに蒸発していく。 私の名前は「木原 沙智(きはらさち)」。名前くらい覚えてます、いくら暑かろうとも。 いきなりですが、恋愛とはなんだと思いますか? 誰かを好きになること、自分を好きになってもらうもの、互いに惹かれあうこと・・・いろいろですね。 私は恋愛がしたいです。それも純愛と呼べるような。 「沙智、今までの全部声に出てるよ。」 「え、嘘でしょ美夫。」 私は太原 美夫(たはらみお)。となりで話しているのは友達の沙智。今日は二人で補修という名の自習をしに、登校してます。 沙智は恋愛ものの小説やドラマが大好きで、毎日「彼氏欲しい!」って叫んでます。 「ねぇ!美夫は恋愛、したくないの?」 「え、私は・・・」 「あ、そうか。家の都合だったっけ」 「う、うん。したくないといえば、嘘になるけどね」 私の家は代々結婚するかしないか、親が決める。私の家が以前「花魁」を統べる家柄だったからと聞いた。そして、私も自分で気づいていた。 以前沙智と興味本位で「前世を占う」というのをやってみたら、自分が吉原の花魁であると言われたからだ。 占っている間(目を閉じてます、眠った感じです)は前世に降り立っている感覚ができるのだが、自分の目の前を全く同じ顔の人が歩いているのを見ると、正直怖かった。 その時「ドッペルゲンガーぁああ!!!」と叫んで目を覚ました沙智の顔は忘れられない。
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