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ガラッ、と襖の開く音が聞こえ、私と沖田さんはさっと視線を移す。
「何をしているんだ、総司」
「なんだ、一君か」
「なんだ、とはなんだ」
一君と呼ばれた人は、ふぅ、とため息をつく。
・・・ってぇええええ?!!
「あっ、あのさささいとうささ、んで、すか?!!」
「「・・・・・・・・・大丈夫(か)?」」
はっ、ついテンションがおかしく・・・
新選組で一君といえば、「斎藤一」さんしかいないだろう。
「あ、あの、す、すみません」
遅くなったがとりあえず土下座する。
「いや、大丈夫だから、顔をあげろ」
「は、はい・・・」
なんと優しいお方だろうか。
「そう言えば、副長が「まだか」と言っていた」
「ぇえ、そんなに遅かったかな?」
まあ、いいや。と言って、沖田さんは私を立たせた。
「じゃあ行こうか。」
「あの、どこに・・・?」
「新選組の鬼の副長、土方さんの所」
そしてにっこり笑って、私の手を引いた。
(あぁ、私の人生終わりそう。)
一つは私の未来(生死)が決められるだろう、ということ。
もう一つは会えて嬉しくて死ぬ、ということ。
新選組の幹部3人に会えたらある意味死ねる、いい意味で。
私は二つの意味で人生が終わることを確信しながら、沖田さんと斎藤さんの後ろをついて行くように歩いた。
「・・・どこかで、見たことがあるような」
「一君、どうかした?」
「いや、なんでもない」
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