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目の前には今までいた教室とは全く違う世界が広がっていた。
教室といえば四角い勉強机に、四角い黒板。四角い窓に囲まれた部屋のようなものだ。(というか部屋)
対して目の前は室内ではなく外。地面にぺたんこ座りの状態である。
そして景色は茶色や黒の和風の建物に、和風の格好した人が歩き回っている。
「い、いいいやちょっと待ったぁ!」
(いかん、つい叫んでしまった・・・あ、そういえば、今私はものすごく浮いている格好なのでは?!)
制服のままぺたんこ座りの女子が、周りの風景と合わないのは当然のことである。
(はっ!目線が痛っ、くない??)
これだけ周りと合わない格好しているのに、何故か誰一人として私を見ていない。・・・何故?
「お、可愛いなぁ君ー」
あ、男の人がこっちくる!気づいてくれ・・・
スッ
「みゃあー」
「ほんといつ見ても可愛いなーミケは」
「猫ですかっ!!!」
がっくり。せっかく話せると思ったのに。
こうなれば、もうとっ捕まえて話を聞くしか!
私は男の人の真後ろに立った。
ぶつかったら、私に気づくだろう。
(そして何より、ぶつかったお詫びとして道案内してもらおう、うん。)
我ながら素晴らしい案だと思う。
「またなーミケ」
「みやぁあー」
おし来い!と言わんばかりの体制で、ぶつかられる構えをとった。が。
スゥー・・・・・・
「・・・・・・・・・ぅわぁあああぁあ!!!!!!!」
あまりの出来事に、またもやぺたんこ座りである。
なんせ男の人が自分の体をすり抜けたんですよ!?
ちょ、待て。
「私生きてるよね・・・」
両手をバッと胸に当てる。
ーどくんどくんー
おぉ、動いてる、すごい早く動いてる生きてるー!!
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