第2花

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シャラ・・・ ・・・・・・シャラン・・・ 右から小さな金属音が聞こえ、顔を向ける。そこには大名行列(ではなく花魁道中だが)のような集団がこちらへ歩いてくる。 私はその場で息を整える。 呼吸が落ち着いてくる頃には、さっきの集団が私の目の前に来ていた。 集団は、とても光っているように見えた。なにより着物の柄も綺麗で。 (よくこの格好で歩けるな・・・) という私の内心はさておき、とにかくすごかった。 私はその中に花魁がいないか探した。 花魁がいるなら、それは自分の可能性が高いからだ。 (全盛期の花魁であった前世の私は・・・) ふ、と目の前を、黒い三枚歯下駄を履き、ゆっくりと歩く一際派手な女性を見つけた。 三枚歯下駄は花魁の履く黒い下駄で、とても重い。 家にもあったので履いてみたが、とても歩くことは出来なかった。 (もしかしたら、自分かもしれない・・・!) その人の顔を近くまで行って見た、もうぐいっと。 だって私、透けますから。 花魁の真横や少し前を歩く年下の女の子と、体がすり抜けるのを気にせず顔を近づけた。 カラン、ザー、コロン。 カラン、ズー、コロン。 重い下駄を引きずり、歩く音が響く。 少しして、私は顔を見るのをやめた。 そして道の端により、大きなため息をついた。 「・・・・・・私じゃ、なかった。」 そう、花魁は私の前世の人ではなかったのだ。
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