第2花

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自分じゃないかどうかは、占いの時に自分で見たから分かる。 前世の自分は今の自分と顔がそっくりだったからだ。 「ちゃんと家でも調べたのにな。親にも『お告げ』頂いたし・・・」 「お告げ」とは、私の家に代々受け継がれる能力的なもの。太原家の中で、特に血筋が濃い人が持つと言う。 たとえ兄弟がいたとしても、選ばれるのは1人。私の母はそれだったらしく、私にはお告げをしてくれた。 能力と言っても、つまりは人の前世を知ることが出来るだけであって占いのようなもの。 私は一人っ子のため、大人になればお告げの能力も身につくだろうと言われた。 けど、前世を知ってどうする? 今の私みたいに振り回されてしまうかもしれないのに。 お告げが嘘かもしれないのに。 暑くなってきた・・・てか、マイナスなことしか考えてない! 「日陰行こ。」 私はすぐ近くにあった橋の下へ移動した。あー涼しい! 「でも、これからどうしたらいいんだろ・・・。」 うーん、と唸り声しか上がらない。 唸っていると、ある植物が目に止まった。 「あ、これコマツナじゃない?!」 急にテンションが上がる。小松菜は理科の生物分野で出てきたばかりだ。 ふと、授業の時先生が言っていた言葉を思い出した。 「コマツナは昔、江戸時代の小松川で採れたから、現在コマツナ(小松菜)とよばれて・・・」 すごいなぁ、川で野菜が採れるって!! ・・・・・・・・・え、ちょい待って。 もっかいリピートしよう、先生の言葉。 「コマツナは昔、江戸時代の・・・」 え、江戸ぉぉおおお?!!! ここは江戸時代なのかっ?! だって川沿いに!土手に!栽培されてるよ?!! 「まさか、の、江戸時代かぁ・・・・・・ふはっ」 なんかもう分からない乾いた笑いしか出ない。 そもそもなんで江戸時代? 何故この場所に来たんだ? 現代の私はどうしてるの? 友達は・・・沙智は? (もうダメだ、疑問が多いのに何一つ解決出来ない。) 普段使わない脳をたくさん使ったせいか、眠くなってきた・・・ 「寝よ。」 (誰も私には気づかないし、ここでいっか。) 私はその場に横になった。そしてすぐ、深く眠りに入っていった。
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