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「……眠れないんだ」  彼が突然 僕の部屋へやって来たのは 夜中の1時を回った頃だった。 「薫くん……?」  悪夢にうなされたのか それとも シャワーをかぶってきたのか。 美しい鳶色の巻毛が しっとりと濡れていた。 「部屋を間違えてない?」  わざと冗談めかして尋ねる僕の瞳を まっすぐ見つめたまま。 「――いいや。ここだ」  彼はゆっくりと首を横に振った。
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