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最後の最後まで、役立たずでごめんなさい。
片手で脇腹を押さえ私の名を呼ぶ土方さんも、立ち上がるのも困難な重症を負っているのに。
『捨て置いて』と言いたいのに。
きっとあなたも、助からないとわかってしまった。
感覚の無い腕は、木偶人形のように自由が利かないけど。
血が湧いて、喉は潰れているけれど。
動いて…後少し。
その大きくて暖かな手に、もう一度…触れさせて。
必死の形相で泣く『鬼』を、慰めてあげたいから…
「…ひ…じ……か、た…さ…」
「…幸華ぁ…っ!」
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