手を伸ばしたその先に

13/13
96人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
意識が遠退く瞬間。 何も映せなくなるまで、愛しい女の死に顔を見つめていた。 幸華…先に逝った皆と会えたか? ドジ踏んで、迷子になってねえだろうな? ピクリとも動かない身体は、幸華と共に冷えていく。 後悔は、山程有る。 だがーー充分、楽しい人生だった。 惚れた女を抱いて逝くなんざ、俺らしいじゃねえか。 なぁ…かっちゃん、総司… 瞼の重さが心地いい。 トクン… 『土方さんっ、もうひと勝負お願いします!』 トク…ン… 『歳っ!共に京へ行こう!!』 トク… 過ぎ去りし日の夢に導かれた後(ノチ)、 ト…ク… 『ありがとう、土方さん。』 …… 幸華の笑みに包まれ、俺の鼓動は静かに刻みを…停止した。 FIN
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!