手を伸ばしたその先に

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「…手間取らせて悪りぃんだがよ、この震えを止めてくんねえか?」 あなたは悔いていない? 私と交わした血の契りを。 あなたの想いを知りながら拒絶する私を…愛し続けた日々を。 「…土方さん…」 懇願するかのように伸ばされた腕を引き、その気高い魂を取り零さぬようしっかりと胸に抱く。 「…ちゃんと最後まで側にいるよ、沖田さんの分もね。」 その時僅かに揺れる身体。 「…そうだよな…あんだけ戦いの中で死にたがってやがった総司に、顔向け出来ねえやなぁ…」 それは忘れる事は許されない、三人だけの固い誓い。 病魔に侵され一足先に死出の旅へと立った、沖田さんの願いと無念までも私達は背負っている。
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