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主人は長男ではありません。
だから主人には『兜』も七五三の様なお祝いごとの記憶もありません。
やらなかったみたいです。
結婚当時、主人は私が羨ましかったと……。
親の愛情・温かい家庭。
しばらく私に妬みのような感情さえ起きていました。
そんな主人を見て母は、
「これからは、あなたが可愛いからこそあの子(主人)を大切にするわ。優先もするけれど、あなたへの愛情は誰より深いから……。あの子の心が親を求めているから、愛情をかけてあげれば、いい子になると思うの。本当は優しくて寂しがり屋なのよ。」
母は、基本的に私と主人を平等に扱った。
どちらかと言えば主人優先だった。
母の教え。
「なさぬ仲程、大切にしなさい。もし私達(両親の事)になにかしようと思ったら、大阪のご両親にしなさい。私達は、もう十分気持ちだけもらっておくから、好きで結婚したのなら、その好きな人を育ててくれた両親に感謝しなさい。今の幸せがあるのは、あの子の両親があの子を産んでくれたから。もう、あなたはあちらにあげたのだから。振り返らず前を向きなさい。なさぬ仲で発してしまった言葉の傷は深くなり、実の親子は浅くなる。だから、大阪のご両親への言葉には気を付けなさい。腹が立ったら唾を飲み込んでみなさい。少し楽になるから。
違う環境。
違う価値観。
違う世界。
結婚までは両目を開いて、結婚したら片目をつぶりなさい。自分だって完璧じゃないんだから、相手の家族にも完璧を求めない。自分にも他人にも甘くっていいんじゃない?そう思えば、あの子の言葉も態度も性格もお母さんには可愛く思えるわ。だからあなたもあの子を宜しくお願いします。」
そして『兜』の額縁をくれた。
本当に平等に可愛がった。
でも主人の実家は…。
私達嫁には…。
ダメダメ!
そんな事思っちゃ!
母に怒られる~~~!
「あなた!一生大切にしなさいよ!私の母の愛情たっぷりの『兜』!」
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