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「あの、どうしてカナフ隊長が怖いのですか?」
廊下を抜けた先にある薔薇が咲き乱れる庭でようやく足を止めたフルーレティにレオンが話しかける。フルーレティは膝を折り、赤い薔薇を指でつつく。
「何となく。私、ずっと路地裏で育ってきたから怖い人は感覚で分かるみたいなの。今まで生きるのに精一杯で、食べ物を盗みもしたし、色んな罪を犯してきたわ」
ただ、生きたい。その思いだけで必死に生きてきた。
レオンはフルーレティの横で膝を折り、フルーレティの髪を一房、手に取る。
「綺麗な髪ですね。本で書かれていた海みたいに。フルーレティ様だけの美しい髪です」
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