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後ろから感じる冷ややかな声と背筋を走る寒気。フルーレティはとっさに立ち上がったレオンの後ろに隠れる。体が震えて、止まらない。
「あっ、カナフ隊長。どうかなさいましたか?」
「………レオン、フルーレティ様を部屋に。護衛は他の優秀なものにさせる。私は随分嫌われているようですから、ね」
石についた血を軽く見たカナフはそのまま庭を去っていった。振り返る時に見せた凍てつく表情にレオンの肩がびくり、と動く。
「ふぅ…………僕も苦手なんですよね………カナフ隊長。覇気って言うのかな、とにかくあの視線が本当の氷みたいで」
レオンが深く息を吐く。カナフの後ろ姿を眺めていたフルーレティが頷く。
「……そっか。あの人、人を普通に殺せるのね」
ようやく気がついた。この恐怖は死を恐れるが故のもの。納得しても、まだ手が震えている。あの人は死神。私なんて剣で一振りすれば簡単に死んでしまうだろう。だから、怖くてたまらない。
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