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「うーん………カナフ隊長はそんなことしないと思いますけど」
レオンがフルーレティの手を引きながら部屋へと歩き出す。長い長い廊下を歩いた先に鉄の扉が行く手を遮る。そこで、レオンの足が止まった。
「こちらがフルーレティ様の部屋になります。何かありましたら外に居る僕を呼んで下さい」
レオンが扉を開こうとするが、少年の力では扉はびくともしない。遠くから見ていた騎士が扉を開いてくれた。
部屋の中は殺風景だった。天井は高く、窓の位置も高い。簡素な木のテーブルと椅子。白いシーツが掛けられたベッド。教会と思えるようなステンドグラスも装飾もない。まるで監獄のようだ。
フルーレティが入ると扉はすぐに閉じられた。鳥が鳴く声も、鮮やかな色に染まった薔薇もない。嫌と言うほど五月蠅かった路地裏とは正反対の部屋。
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