第2章 生まれ変わる人

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その後、斉藤から謝罪とともに再びつきあってほしいとの申し出があり、セックスの相性が抜群だった斉藤とはほどなく関係が戻った。 美容師の弓木は、葉子の自尊心をくすぐる相手だった。 ホストのように葉子の機嫌を取るのがうまかった。 交際の費用は、大抵葉子が支払った。 ひと月に一二度映画を見て、食事をするくらいでたいした出費ではなかった。 性交渉を求められた時は、彼のマンションへ行った。 セックスは巧くも下手でもなかったが、妻木にセックスを拒否されていたので、同じみじめな気持ちを相手に味わわせるのは嫌だったので、自分から求めることはなかったが、弓木に求められれば体調が悪い時以外は拒否しなかった。 自分は悪い女なのだろうか。 あれこれ考えているうちに、疲れが出たのか、不意に眠気に襲われて葉子はベッドに倒れ込んだ。 どれだけ眠っていたのか。 目が覚めると、時計は深夜の2時を回っていた。 携帯に、斉藤からの留守電が3回も入っていた。 最初の留守電は、夜の10時15分だった。 「どうしたんだよ。ホテルの前で待ってるんだけど。」 2回目の留守電は、10時半に入っていた。 「キャンセルならキャンセルと連絡してくれ。俺だって次の予定があるんだ。」 セックスの巧い斉藤に複数の相手がいることは、容易に想像がついた。 3度目は11時だった。 「ふざけんなよ。いつまで待たせるんだ。俺をほっぽらかして他の男とでも寝とんのか!!」 通話はすぐに切られた。 真剣な交際ではない。 当然、急病や事故ではないかなどと心配してくれるわけもない。 相手にとっては、複数いるセックスフレンドの一人に過ぎないのだ。 また、喧嘩別れか。 仕方がない。 葉子は留守電に返事を入れた。 「ごめんなさい、急に体調が悪くなって寝てしまったみたい。」  ~当分また、交際断絶だわ~ 葉子は、ほっと軽いためいきをついて、そのまままた寝入ってしまった。 いつのまにか、知らず知らずのうちに疲れがたまっていたようだった。
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