『No.029』

3/12
前へ
/13ページ
次へ
血の繋がりはないけれど。 幼い頃から研究所で僕を守ってくれた。 どんなにツラいことがあっても、この人が僕を慰め励ましてくれた。 僕の大切な姉さん。 生まれながらに異能の力を持ち、研究所に送られ、組織の駒として、生きることを決定づけられていた僕と姉さん。 そんな運命が嫌で、組織に反抗した僕を組織と研究所は『処分』しようとした。 それを助けてくれたのが―― 姉さんだった。 「僕が……僕が組織に逆らって……命令を聞かなかったから……だから……」 下を向きながらそう答える僕に姉さんが笑いながら、軽くデコピンをしてきた。 「あなたのせいじゃないわよ。アタシが勝手にあなたを助けたかっただけ」 「でも……」 「いいから。どうしても謝りたいなら、ここから出て自由になったらいくらでも聞いてあげる」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加