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そうして手を握り、走り出す。
僕は祈る。
まだ見たこともない神様に――
『どうかお願いです。僕と姉さんに自由を――』
「もう少しだから、頑張って!!」
「ほら!!」と姉さんが指を射す。
「ゲートが見えてきた!! もう少しだから!!」
力強い姉さんの言葉に頷く。
もう少し……もう少しだから……お願いです、まだ見ぬ神様……
そう祈った時だった。
四方八方から放たれるサーチライトが僕らを照らす。
姉さんの動きが止まり、庇うようにして、僕を自分の背中に回す。
無数の警備員たちがこちらに銃口を向けていた。
パンパンという拍手の音が警備員たちの中から聞こえてきた。
「お見事。さすがだよ……。No.06」
「光姫博士……」
拍手と声のする方を姉さんが睨み付ける。
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