『No.029』

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そうして手を握り、走り出す。 僕は祈る。 まだ見たこともない神様に―― 『どうかお願いです。僕と姉さんに自由を――』 「もう少しだから、頑張って!!」 「ほら!!」と姉さんが指を射す。 「ゲートが見えてきた!! もう少しだから!!」 力強い姉さんの言葉に頷く。 もう少し……もう少しだから……お願いです、まだ見ぬ神様…… そう祈った時だった。 四方八方から放たれるサーチライトが僕らを照らす。 姉さんの動きが止まり、庇うようにして、僕を自分の背中に回す。 無数の警備員たちがこちらに銃口を向けていた。 パンパンという拍手の音が警備員たちの中から聞こえてきた。 「お見事。さすがだよ……。No.06」 「光姫博士……」 拍手と声のする方を姉さんが睨み付ける。
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