『No.029』

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警備員たちの中から男が進み出てきた。 シワ一つない白衣。端正な顔によく似合うノンフレームの眼鏡―― 光姫琥太郎……。 この研究所の責任者の一人。 「全く……こちらの被害も甚大とは言え、君たちを処分するのは非常に惜しいよ」 「特に」と光姫博士が笑う。 「No.06。君は優秀なだけに……本当に惜しい」 姉さんが光姫博士を睨み付ける。 「そんな君たちに敬意を評して選ばせてあげるよ」 「選ぶ?」 「ああ、このまま逆らって死ぬか、ラボにおとなしく戻って、僕たちの言うことを聞くか」 それを聞いた姉さんが鼻で笑った。 「戻れば、逆らう気も二度と起こらないぐらい……徹底的に痛めつけるつもりでしょう?」 光姫博士は答えず、ただ笑っているだけだ。
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