『No.029』

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姉さんが僕の頭を優しく撫でた。 「姉さんが今から10数えるから……数えきったらまっすぐにゲートめがけて走りなさい」 「え?」 「姉さんが博士と警備員を食い止めるから。あなたは逃げて……自由になりなさい」 「ダメだよ!! 姉さんも一緒じゃないとやだ!!」 泣きそうな僕に姉さんは静かに笑うだけ。 僕のせいだ……。僕のせいで……。 僕にもっと力があれば。 僕に力がないから。 神様。 どうかお願い。 姉さんを……この優しい人を…… 助けてください!! 強く強く祈った時だった。 「たららら~ん♪たったったったったった♪たららら~ん♪」 どこからともなく聞こえてくる必殺仕事人のテーマ。 ……必殺仕事人のテーマ? 「これ、誰かがインカム使って自分で歌ってるよ!! 姉さん!!」 思わず突っ込んでしまった。
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