不穏

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***  教室に戻ると、まだ翔太は椅子に座っていた。どうやら今日出された課題をやっているらしい。 「翔太、名前呼ばれたよ」 「え? 梨花戻ってたんだ。気づかなかった」  慌てるでもなく、ゆっくりとペンやノートを仕舞う。見ている方が焦ってしまうほどのマイペースぶりだ。 「なあ、どんな感じだった? どんな質問されんの?」 「それは……先生、内容とか言っちゃダメって言ってなかったっけ」 「マジで?」  慌てて辺りを見回す仕草が、なんだか可愛い。 「んじゃ、行ってくるけどちゃんと待ってろよ。約束だからな」 「うん、分かった」  すみやかに帰れ、とも牧野が言っていたことを思い出す。しかしクラスを見渡せば、梨花より先に終わったはずの萌も教室に残っていた。ミリアと風子の三人で、また何やら話をしている。 「んじゃ行ってきまーす」 「い、行ってらっしゃい」  ゆったりとした足取りで翔太がドアに向かう。  その時だった。
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