554人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
放送室を見に行った一行は、もと来た階段を戻っていた。収穫は、例の映像が入ったSDカードのみだ。短い映像をループ再生させていたらしい。
「結局なんだったの?」
「六宮に殺された子の呪いとか……」
「やだそれ怖ぁーい」
ミリアの問いに、わざとらしく恐怖をにじませた風子と萌が答える。
「呪いなんてあるわけねーじゃん。誰かのイタズラだろ」
テツが、張り出した頬骨を押し上げるようにして苦笑した。
「誰かって誰よ」
「知らねえけど、誰だって出来るだろ。放送室鍵かかってねえんだし」
「マジそいつ殴りてえー」
二人の会話にデカ森も加わった。
常に虚勢を張っているような彼に、後方にいたくさびは冷たい視線を向ける。元々感情をあまり表に出さない彼だが、率先して悪目立ちするデカ森のことは良く思っていなかった。テツに対しても同様で、キヨミツと同じ、風紀を乱すチンピラという認識だ。
そのキヨミツは、今この場にはいない。美春とにゆ、キヨミツは、翔太について行かなかったのだ。最初の時点で教室に留まったメンバーは他に、三ノ瀬宗介と柳原レオがいる。
最初のコメントを投稿しよう!