一人目

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 放送室を見に行った一行は、もと来た階段を戻っていた。収穫は、例の映像が入ったSDカードのみだ。短い映像をループ再生させていたらしい。 「結局なんだったの?」 「六宮に殺された子の呪いとか……」 「やだそれ怖ぁーい」  ミリアの問いに、わざとらしく恐怖をにじませた風子と萌が答える。 「呪いなんてあるわけねーじゃん。誰かのイタズラだろ」  テツが、張り出した頬骨を押し上げるようにして苦笑した。 「誰かって誰よ」 「知らねえけど、誰だって出来るだろ。放送室鍵かかってねえんだし」 「マジそいつ殴りてえー」  二人の会話にデカ森も加わった。  常に虚勢を張っているような彼に、後方にいたくさびは冷たい視線を向ける。元々感情をあまり表に出さない彼だが、率先して悪目立ちするデカ森のことは良く思っていなかった。テツに対しても同様で、キヨミツと同じ、風紀を乱すチンピラという認識だ。  そのキヨミツは、今この場にはいない。美春とにゆ、キヨミツは、翔太について行かなかったのだ。最初の時点で教室に留まったメンバーは他に、三ノ瀬宗介と柳原レオがいる。 
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