冷たいキス

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コンペ会場となるのは打ち合わせを行ったブランド本店の大会議室。 数人のスタッフに案内されながら準備を始め、開始時刻の数分前になるとクライアント側の広報部や宣伝部、その上の重役も含めた大勢が入室し、会議室後方の席を埋めた。 高まる緊張の中、手早く名刺交換を済まし、コンペの開始。 自社の会社概要を簡単に説明し、プレゼンを始める。 スクリーンに映し出された私のデザインに会場がざわめく瞬間は 言いようのない緊張が私を包む。 クライアントがどう評価しているのか不安になる。 けれど、今回のデザインにはいつも以上に自信があった。 自分のデザインには誇りを持っている。 どれだけ情熱も掛けても、時間を費やしても、労力を注いでも、 負ければ人の目に触れることはなくなる。 負けるデザインなどしない。 祐介… 見てて…
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