648人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
沈黙よりもさらに静かな空間だった。
私はしばらくしてからやっと、小さな歩幅で少しずつ遺体に近付いた。
目の前に突き付けられた現実に、顔が歪(ユガ)んで、体の奥から込み上げる何かに唸(ウナ)り声が洩(モ)れた。
噛みしめた奥歯が痛み、無数の涙が床に落ちた。
…何で…
私の大好きだった祐介の寝顔は
無数の傷でデコボコになっていた。
…何で…
不思議と
悲しみよりも先に込み上げる感情は
怒りにも似た…悔しさ。
…何でなの…
…なんで
祐介なの
最初のコメントを投稿しよう!