冷たいキス

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「…稲森…」 彼は戸惑いの表情を私に向けた。 それでも私は答えられなかった。 言葉にすることが… …怖かった。 それに… まだ信じていない。 「…今日は…」 何とか説明しようと口を開いたとき、プロジェクトの責任者である佐藤さんがやって来た。 後ろには同じメンバーの滝川さんたちも続いて、私の名前を呼んでいる。 佐藤さんの姿を見つけた市原さんは、黙って立ち上がり、佐藤さんだけを部屋に入れ、みんなを窘(タシナ)めながら自分も部屋の外に出た。
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