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-コールドストリーム社射撃場-
入社してから数週間たった頃、凪は射撃場の一画で射撃の練習をしていた。
構えた小銃から発射された弾は紙で出来た人形の標的の中心点を確実に射抜く。
「ホント、凪は射撃が上手いよね」
「スナイパーの方が向いてるんじゃないの?」
凪の後ろでは陽榎とナターシャがコーヒー片手に感嘆の声をあげる。
「ワトスン君。銃の名手としては相方シャーロックの腕は如何かね?」
少し含みのある微笑を浮かべた陽榎は、凪の隣で射撃を行っている女性に尋ねる。
「確実にからかわれてるのはわかるよ。うん。かなり上手いんじゃないかな。そんなに上手くない私が言うのもなんだけど」
ナターシャやリーネより少し身長の低い、金髪の彼女は冷めた灰色の目で、二人を一瞥する。
彼女はシャロン・ハリエット・ワトスン。
元イギリス陸軍兵で元軍医である。
ワトスンと言う名前、ロンドン大卒のイギリス陸軍の軍医、アフガン帰りの負傷兵。
推理小説のシャーロック・ホームズに登場するジョン・ワトスン医師と共通点が多い事から、それをだしにからかわれていた。
と言っても読書好きでワトスン医師のキャラクターを知っている彼女からすればさほど気にとめる程の事ではないが。彼女は凪とバディを組んでいた。
つまりワトスンの相棒=シャーロック・ホームズ=凪である。
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