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「お、お嬢さん方。お揃いで」
ふと射撃場の入口に目をやると、サングラスをかけた男達がライフルケース片手に入ってくる。
「千歳。そろそろ慣れたか」
「ハントさん」
皆、ラフな格好をしている中一人だけスーツに身を包んだ30代半ばの男がいった。
「カイル、スーツなんか着てなんかあったの?」
陽榎が椅子を揺らしながら尋ねる。
「カイル“さん”だろ? ったく年上を労れねぇんだからこの娘は。
お前のせいだよ。
この前チェンバレンとお前とサイアーズ辺りで会社のBMW弄ってて燃やしただろ。あの件で俺が呼び出しくらったんだよ!!
ったく責任者の癖にアルは逃げて居ないし、お前やナターシャ抜いたら最古参だからって行かされるし、ってナターシャてめぇこんな所に居たのか!!」
陽榎の問い掛けにカイルと呼ばれたスーツの男は怒気を含んで詰め寄る。
「てへっ」
「てへっじゃねぇよこのガキは!!!」
陽榎の茶目っ気タップリに舌を出した姿はカイルの怒りの火に油を注ぐのは当たり前である。
ちなみにカイルの後ろいる男は軽く頬を染める。
カイル・モーリス・ハント。
元イギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)准尉。
38歳で経験豊富なベテランであり、コールドストリーム社でも最古参の部類に入る人物である。
その為若い元士官の社員連中より責任を負わされている。
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