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「兄、さん……」
「……アリシア」
アリシアを抱き抱え、頭を撫でる。
「もう大丈夫だ……全部、終わったから」
「うん……」
「戦争も終わった。
これからは、ずっと一緒だ」
「うん……ずっと」
「そうだ、体調が良くなったら花園へピクニックにいこう。弁当は……作れないから、お前に手伝ってもらわないとな」
「……うん、」
「……大丈夫。大丈夫だ。
ちょっとだけ、疲れてるだけだから」
強く、強く抱き締める。
アリシアの身体は……つめたい。
「ごめん、ね……兄さん……」
弱々しく伸ばされた手を掴む。
アリシアは、ぽろぽろと涙を溢していた。
「……何言ってるんだ、謝ることなんか何もない。
……ずっと、こうしているから。少し……休め」
「……うん。明日、あし、た
……ピクニック。いこう」
「……ああ、行こう」
「約束、だよ。
……おにい、ちゃん……。
やく……、、」
「ああ、約束だ」
……掴んだ手のひらから、力が無くなっていくのがわかる。
ゆっくりとその手を離し、アリシアを抱き抱えた。
「…………」
こんなに、悲しいのに。
締め付けられる胸は張り裂けそうに呻いているのに。
「……涙も、出ないなんてな」
呟き、主の居なくなった玉座へと歩く。
力なく座り込み、アリシアを優しく抱き締めた。
「……ああ、」
……少し、疲れた。
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