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首都高湾岸線を目指して北上する。
東京タワーのオレンジ色の明かりを横目に過ぎると、眼前にはレインボーブリッジが見えてくる。
車内にはJAZZがゆったりと流れる。
そのムーディーな雰囲気に、酔い痴れる。
「ねぇ...」
呼びかけられたので、思わず宇野さんを見つめる。
「金沢さん、俺の事好きでしょ?」
前を向いたままの彼は口角だけが上がっていた。
「え......」
それっきり、車内での会話は途絶えた。
二つ目の観覧車が見えなくなると、暗闇に紫色のお城が現れる。
インターを降りて向かった先は夢の国。
お城の後ろで花火が上がった。
「前に好きって言ってましたよね?」
「は?えっ?あ、あの......」
「お城の花火。」
思わずぽかんとする。
「半年くらい前に、成城のスタジオで。」
「あ~...なんとなく......」
花火大会の時期に、何処の花火がいいか?休憩中にそんな話していたっけ。
ーーー隅田川も新宿御苑もいいけど、僕はシンデレラ城と花火のコラボが好きなんだよね。
ーーーやぁだ!遥希さんて以外とロマンチックなんですね!
その時いたモデルさんたちに散々からかわれたんだよね...
言った本人すら忘れていた。
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