..monochrome..

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「よし、じゃあ始めますか。」 カメラマンの一声に現場の空気が変わる。 やや緊張した面持ちながらも、モデルはカメラの前で慣れたように表情を決めていく。 カシャッ、ピピピピーーー レフ板を介した眩いストロボとシャッター音がスタジオ内に響く。 「よし、じゃあ次行こうか?」 とあるブランドの春夏新作のコスメの撮影。 「メイク入ります。」 僕は合間合間で、ヘアメイクの調整を行う。 「アリサちゃん、緊張してる?」 緊張をほぐそうと、モデルに話しかけた。 「遥希さん...だって、カメラマン宇野さんですよ!?嬉しくて信じられなくって!!」 「じゃあアリサちゃんの可愛さを引き出すから、グロスを少し変えるね?」 雑談しながらも、手早くメイクを施すのが僕の仕事だ。 彼女は最近は雑誌のみならず、CMでも取り上げられるほどの売れっ子モデルだ。 そして、ここ数年急成長を遂げた新進気鋭のカメラマン、宇野和馬。 女の子を撮らせたら、右に出るものはいないとまで言われている。 おまけにその商品はヒット商品となり、"宇野が撮ったら売れる"と噂されるほどだった。
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