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「は?え?モデル??」
「そう。」
「誰がですか?!」
「金沢さんです。」
宇野さんと合流した僕は、彼の運転する車で彼の個人事務所へと向かっていた。
宇野さんの車は、ランサーエボリューションX
赤いメタリックカラーがイメージと違い、少し驚いた。
車なんて持ってなくて、疎い僕でもそれがスポーツカーだというのは一目でわかる。
ターボのついた武骨なエンジン音の振動が心地良い。
やや車高の低いランサーは勿論5足マニュアル。
ギアチェンジする、骨ばった左手に不覚にもドキドキさせられる。
「そんな...僕モデルなんてしたことないし、無理ですよ!!第一、宇野さんに撮って欲しいと思ってるモデルなんて沢山いるじゃないですか!?」
「それだとギャラが発生しますよね?俺のプライベートな趣味で撮りたいだけなんですよ。気が向いたら個展とかに出すかもしれないけど。」
「個展なんてっ!!益々荷が重いですよ!無理ですってば!!」
「ああ、すみません。個展は言い過ぎました。でもちょっと趣味に付き合うと思って。ギャラ代わりに飯でも奢りますから。」
「そんなっ!!」
「綺麗に撮れたら宣材にでも使って下さいよ。」
結局、宇野さんの有無を言わせない笑顔に押し切られた僕は、渋々了承したのだった。
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