..monochrome..

個人事務所とはいえ、マンション内の一角は、申し訳程度の事務所スペースと撮影用のスタジオになっていた。

「あ、これ...」

入り口を入ると、その壁には数枚の小さな写真や、パネルサイズに引き伸ばしたものが飾られ、出迎えてくれる。

風景を切り取ったもの、外国の子供たちの笑顔、何かのスポーツチームのチアリーダー達の集合写真...

(わ、ヌードもある...)

いろいろな意味でドキドキしながら、招き入れられた。

「けっこう手広くお仕事されてるんですね。」

「ああ、それですか？事務所出来た時は仕事無くていろいろと断らないでいたもので。」

「じゃ、早速だけどこっちきてくれませんか？」

「そんな、いきなりですか...」

「撮りたいと思った瞬間を大切にしたいからね？」

イタズラっぽくはにかんだ笑顔に胸が高鳴る。

背景紙の真ん中にイームズのシェルチェアが置かれた。